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 「本当に? 彼は通過できなかったのか? 引き返したのか?」
 それに対してバスの奥からただ返事がした。「いいえ(ノン)」。 僕達は続きを待ったが、どんな言葉もなかった。何秒かが経つにつれて、その「いいえ」にはほかのどんな言葉も続かないだろうということが、その「いいえ」は最終的なものだろうということが、レクリヴァンがカサブランカに着陸しなかっただけではなく、決して彼がどんな場所にも着陸しないだろうということが、明らかになってきていた。

 そういうわけでその朝、最初の郵便飛行の夜明けに、今度は僕がその職業の聖なる儀式に従っていた。そして街灯を反射して光る砕石舗道をガラス越しに見ながら、僕は自信が足りないように感じていた。そちこちの水溜りには風でできた偉大な棕櫚が見えていた。それから僕は考えていた。「初めての郵便飛行だというのに. . . まったく. . .ついてないな。」 僕は視察官のほうに目をあげた。「悪天候になりますか?」 視察官は窓ガラスのほうに鈍い視線を向けた。「これでは何もわからんよ」 彼はようやくつぶやいた。それで僕はどんな兆候で悪天候がわかるのか自問していた。ギヨメは先輩たちが僕たちに浴びせかけていた不吉な前兆のすべてを、たったひとつのほほ笑みで、前日の晩、消してくれていた。だがそれらのすべてが僕の記憶によみがえってきた。

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