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彼は自分の正面に、刻々と幾つもの竜巻の尾が、壁を建てるように狭まっているのを見た。それから夜が壁の上におりてきて、それらを隠すのを見た。そして彼が雲の下を1時間、巧みに進んだとき、途方もない王国が姿を現した。
 そこには海の竜巻が集まりあってそびえ立ち、神殿の黒い列柱のように不動の外観を見せていた。先端がふくらんだそれらは、嵐の暗く垂れ下がった丸天井を支えていたが、その丸天井の裂け目を通して光のすそが射しこみ、列柱の間から見える満月が、海の冷たい敷石の上で光り輝いていた。そしてメルモは無人の廃墟を横切って自分のルートを追い求めた。光の道から道へと斜めに進み、海の上昇が疑いもなく差し迫る巨大な列柱を回避し、4時間、流れ出る月光を浴びながら、神殿の出口の方に向かった。そしてその光景があまりにも圧倒的だったので、メルモはひとたび赤道無風帯を飛び越えると、自分が恐怖を感じていなかったことに気づいたのだ。
 僕もまた現実世界の境界を飛び越える、そういう時間のひとつを覚えている。その夜はずっと、サハラの着陸地によって伝えられる無線の方位測定が誤っていた。そして電信技士のネリと僕は重大な間違えをしてしまった。霧の亀裂の奥に海面が光っているのを見たとき、僕はいきなり沿岸の方に針路を変えた。僕達はどれくらいずっと沖へ進んだのか知ることができなかった。

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